ことしも飛んだコンテンポラリーなカトリヤンマ
昨年、郡山市中心部の文化施設の脇でカトリヤンマを発見したことをこのブログに載せました。しかし残念ながら、その後も写真に撮ることができずにいました。今年になって満を持して数回水路でヤゴ採集を試みましたが、ヤゴは全く得られませんでした。こうなると本当にカトリヤンマは居たのかと疑心暗鬼になってきます。
9月9日、夕方、昨年複数の個体が黄昏飛翔した場所に向かいました。マンションの明かりがまぶしく、こんな所だっけと不安になります。17:50にヤンマが飛び出しました。最初は何とマルタンヤンマ雌が複数飛び、仰天しました。郡山市初記録です。東京の石神井公園でも多数見れるとのことですから、郡山市市街地にいてもおかしくはないのですが。それにしても何でマルタン?そしてその後暗いブルーグレイの空に、飛び交う複数のヤンマが現れました。そのシルエットから間違いなく、それはカトリヤンマでした! 同時に飛び交うコウモリに交じって盛んにトンボ返りをしています。確信を得た私は9月11日午後、昨年確認した雄が必ず飛ぶポイントへ行ってみました。するとカトリヤンマがいきなり現れて探雌飛翔するではありませんか!その雄はフラフラと茂みに消えました。後を追うと暗い茂みの下枝に静止している姿を運よく確認することが出来ました。しかし枝が邪魔で良い位置につけません。まごまごしている内に飛ばれてしまいました。ところが、すぐそばに別のオスがこれまた面倒な位置に止まっています。なんとか身を低くしてアングルファインダーで確認しながら撮影しました。郡山市のカトリヤンマを初めて鮮明 (?) に捉えた瞬間でした。
これ以降の観察についてはこのページに順次追加掲載していきたいと思います。
茂みに潜り込んで休む雄 まだ若いか?( 11/9/2021, 郡山市市街地内)
庭園のモミジの枝に止まる雄 (12/9/2021 同)
ピンボケですが、スズメバチに驚いて飛び去る雄 (13/09/2021, 郡山市市街地 ) 最大の案件はどこで配偶行動をしていて、産卵はどこにするのかです。てっきりこの水路にするのだとばかり思っていましたが、当てが外れました。さて、そうなると見当がつかなくなってしまいます。どうするか、しばらく頭が痛いかも知れません。
9月13日の観察
午後1時頃、カメラを下げ散歩がてら行ってみました。例のポイントに陣どって飛来してくるカトリヤンマを待ちました。すると13:18に雄が探雌飛翔してきました。さらに14:21に同じく探雌飛翔してきた雄が、目の前でエノキの細枝に止まろうとしましたが、スズメバチが近くを飛んで、この雄はびっくりしたのか飛び去ってしまいました。その後飛来は絶えて、私も待ちくたびれて、今度は施設の駐車場と隣り合う別の施設の間にある水路沿いを、ヒイラギの垣根を棒で叩きながら歩ってみることにしました。歩き始めてすぐに、高さ2mほどから、何と雌が飛び出しました。雌は昨年、最初に見て以来です。やっぱり居ました。そしてついに。もう一叩きした時、念願の交尾態のペアが飛びだしました。ペアは1mほどの高さを重そうに飛び、すぐに近くに止まりそうでした。水路の反対側に施設の中庭があって、その中の低灌木に止まりました。千載一遇の機会です。そっと近づきました。が!居ません、あれ?確かにこの辺に、、、いくら探しても見当たりません。不思議です。とうとうこのペアは見つかりませんでした。しかし、今日は大きな成果がありました。雌の再発見、そして交尾の確認。昨年以来、雄が伊達に探雌行動していたわけでなかったのです。確かにこの場所で繁殖行動をしていたのです。そうなると、一気に、この水路が発生地である可能性が出てきました。
9月15日、昼少し前に行って見ました。着くなりカトリヤンマが探雌飛翔しています。どうもこのパターンが多いので、あるいはこの場所がカトリヤンマの休息場所になっているのかも知れません。休んでいた雄が人の気配で飛び立った可能性があります。
この観察場所は手前に幅2mの水路があって、カトリヤンマが飛翔したり静止するのは水路の向こう側にある生垣で、近寄れずアップで撮ることができません。探雌飛翔なら手前も飛ぶことがあるので全く撮れない訳ではないのですが。しかし、観察を続けて気になることは個体数が非常に少ないことです。大体1時間に1頭の飛翔ですから雌や交尾を見たとはいえ、まだ見逃している本当の発生地があるかも知れないと、少し周囲を歩いてみることにしました。施設の表側は幹線道路に面していて大きな交差点もあって交通量が非常に多いところです。まあ、こんなところには居ないだろうと、駐車場わきに植えられたヒバの並木を見てみると、何と雄がしっかりと探雌飛翔しているのを発見しました。さらに少し奥まった庭園側の木立に止まっている雄を見つけ初めてアップで雄を撮影することができました。この場所には水域と呼ぶべきものは全くないのに、雄たちはかなり広範囲に活動しているようです。探雌飛翔するからには雌も多分居るんでしょうね。彼らの行動を見ていると何か普段のカトリヤンマとはどこか違った印象を受けます。
ツバキの垣根に沿って探雌飛翔するカトリヤンマ雄 (19/9/2021)
9月21日、いつものように昼過ぎにいつもの茂みに行って見ました。すると2頭のカトリヤンマが飛び出し、それぞれが再び別の場所に止まりました。雌と雄です。初めて雌を撮ることができるかも、と心臓が高鳴ります。しかし雌が止まったのは残念ながら高所で、私のカメラで鮮明に捉えることはできませんでした。一方雄は水路に低く張り出したエノキの枝先に止まりました。最高の位置です。
こうやって見ると、やはりこの水路が繁殖の場のように思えてきます。毎日、観察の結
果から、考え方が二転三転しますが、雌もいるしなあ。
いずれにせよ産卵の確認がどうしても必要なのを痛感します。はたして本当にここのカトリヤンマはコンテンポラリーなカトリヤンマなのか、それとも否か、その時その結論が出ます。
9月30日、久しぶりにカトリヤンマはどうなったか、午後4時に愛犬の散歩がてらカメラを提げていつもの茂みに行って見ました。相変わらず茂みの下枝に2個体が止まっていました。暗くて奥の個体の性別が分かりません。しかし犬が騒いであっという間に飛ばれてしまいました。しかたがないので黄昏を見てみようと、時間稼ぎに周辺を歩ってきました。時間は17:30。居ました居ました。複数のカトリヤンマがマツの梢にまとわりつくように小昆虫を捕食しています。高所だけでなく、地面すれすれに飛ぶ個体もあり、何か大きな獲物を狩ったようで、上下しながら狭い範囲を飛び回ります。暗くて良く分かりません。あいにく70-300mmのズームレンズ装着のカメラしか持っていませんでしたので、ピンボケの写真になってしまいました。どうやらアキアカネを捕えたようです。
アキアカネを捕え、飛びながら食べている雌.