ホソミオツネントンボの越冬地を白河市南部の山地で見つけたことは先に紹介しました。ここではその後どうなったか、について詳しく述べていきたいと思います。前回4月3日に当地を訪れた時には、
1 多数のホソミオツネントンボが山地の林道脇(標高450m)の灌木の枝に止まって、摂食行動を行っていた。林道沿い約500mに見られ、個体数は18頭/30mであった。
2 ほとんどが♀で、♂はわずかだった。
3 ♀は成熟色が現れず、全て越冬色であったが、一部の♂は少し青みがかっていた。
4 陽が射している場合のみ見られ、陽が陰るとスギの樹上に上がって降りてこない。
ここまでが前回の内容でした。林道入口付近ではオツネントンボが複数みられましたが、ホソミオツネントンボと混生することはなく、ホソミオツネントンボの越冬地内には全く姿を確認することができませんでした。
4月3日に比べ、緑が多くなった4月23日、白河市表郷の林道を再訪してみました。すると何とまだ多数のホソミオツネントンボが居残っていることを確認しました。数はさすがに減って、達観で前回と比べ半分の数でした。♀はかなり性成熟が進んだようで、淡く青色に変化しています。まだこの地に滞在するのでしょうか、すでに山を下り溜池に戻った個体はいるのでしょうか?早速、山を下り、表郷~白河市内の溜池を回ってみました。
ただ1頭居残っていた♂,まだ色が淡い.♂に比べ成熟度が進んだ♀
若干まだかな
ほぼ成熟した♀
溜池にはオツネントンボが多数見られ、少数ですが交尾・産卵を行っていました。また、コサナエが羽化盛期でした。しかし、ホソミオツネントンボは1頭も見られず、まだ飛来していないことが分かりました。そこで、矢吹町、須賀川市及び郡山市内の池沼(平地)でも同様なのか見て回りました。その結果、ホソミオツネントンボは白河市同様どこにも確認できませんでした。この時期、オツネントンボも白河市以外には少なく、まだ配偶行動が見られない池沼もありました。しかし一方で、標高の高い猪苗代湖周辺(標高500m)及び羽鳥湖周辺(標高700m)ではオツネントンボの配偶行動や産卵が観察でき、最盛期ではないかと思われました。また、羽鳥湖では少数ではありますがホソミオツネントンボの♂を確認することができました。不思議な話です。標高の高い場所ではすでにホソミオツネントンボが沼に戻り始めて、さらにオツネントンボも交尾・産卵が盛期になっているにもかかわらず、平地ではその気配すらない。このことは今までに全く気が付いていませんでした。私はこの時期、いつもラオスのトンボに関わっていてホソミオツネントンボに関心は正直全くありませんでした。このコロナ過の中で初めて本種と正面から対峙したわけで、そうすると何も分からない自分があって、毎回このホソミオツネントンボにはウームと唸らされています。
5月6日、ムカシトンボの羽化を確認にいわき市三和町に行きましたが、ようやく羽化を確認できました。この内容は次回にして、帰りに白河市の例の溜池に行って、ホソミオツネンが来ているかを確認したいと思いました。
白河市内の溜池,環境は悪くない.すでに13時をまわっていましたが、水面には、居ました、居ました。ホソミオツネントンボが飛び回り、交尾しているカップルもあり、それっ、カメラ、カメラとばたばたしてしまいました。私自身まだこのトンボをちゃんと撮影したことがなかったので、慌てました。落ち着いて見てみると、2週間前にあれほどいたオツネントンボは全く姿を消し、代わりにホソミオツネントンボが交尾・産卵を行っていました。どうやら明らかに、越冬トンボのこの2種は成熟度のスピードの違いがあって、オツネントンボの性成熟がホソミオツネントンボより2週間以上、早いことが分かりました。県南の白河市において、両種が見られる沼ではオツネントンボが4月中旬から現れ、ホソミオツネントンボは5月に入ってから飛来するものと考えられました。ホソミオツネントンボの配偶行動が活発になるころにはオツネントンボは姿を消すようです。
この白河市の溜池にはホソミオツネントンボの他にアジアイトトンボ、エゾイトトンボ、コサナエ、トラフトンボ、ヨツボシトンボそしてシオヤトンボが見られました。
初めて撮った交尾写真産卵、15時ぐらいまで活発な産卵行動が見られた
ホソミオツネントンボはこれからが最盛期を迎える.
こんにちは、お世話になっています。
返信削除マイフィールドでもオツネンに混じって、ホソミオツネンが増えてきました。
地域によって、両種の成熟度の違いがあるのか興味がありますよね。福島県のような寒冷地(?)では標高が高いと性成熟が進むとか。そういうのがあるかもしれません。
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