2023年12月5日火曜日

オツネントンボはどこに行った?(アマゴイルリトンボ)

  12月5日、ここ数日、朝方は-5~0℃と冷え込んで、霜も降りました。オツネントンボを観察しやすいように集まって越冬している場所(1.4m×1m)に目印を付けて、その中の数を現地に行った時数えてみました(厳密でなく適当に)。11月27日の夕方は7頭のオツネントンボがササの根際に止まっていました。そして今日、わずか2頭しか確認できません。落ち葉にもぐったかと思って、落ち葉をひっくり返してもみましたが結局、他はどこに行ったのか分かりませんでした。周囲も探しましたが、あれほどいたオツネンはどこかに行ってしまったようです。このところ続いた低温では日中も4℃ぐらいしか上がらず、飛ぶことは出来ないように思います。どこに行ったんだろ?
 また、また、例の得意の不思議が始まりました。いやだな―、こういうのに付き合うのは。
                    
         早朝まだ生き残っているアキアカネの前胸に残る霜の痕、ようやく融け出した

 気分転換に、今年撮っていた写真を見てみました。肝心な時期にほとんどオオルリボシヤンマに翻弄され、目立った活動ができませんでした。写真を見ていて、あー、こんなことやってたんだと、完全に忘れていたシーンがでてきて自分でビックリしているほどです。その中からアマゴイルリトンボ。以前用水路のアマゴイルリトンボを紹介したことがありました。U字溝の幅が30cmほどなので、撮影が体勢的にきつく避けていましたが、思い切って挑戦しました。
                       
    
                                                   アマゴイルリトンボが見られる溜池
                          
            農道の右手、斜面との境に用水路があってくさ草が覆いかぶさっている
                          
 用水路の下流部から上流へ覆いかぶさる草を除けて進むと、まずモノサシトンボに出会う
                          
         しばらく覆いかぶさる草をかき分けていくと、いました居ました、若いカップルです
                    
             完全なブッシュの中、成熟したカップルが居ました。個体数は多くありません
                           
    モノサシと向かい合って、どう思っているのでしょうね。陽の射す場所には決して出てきません

 アマゴイルリトンボは福島県ではさほど珍しいトンボという感じはせず、各地に分布し、しかも個体数が非常に多いのが特長として挙げられます。ある意味で福島県を代表するトンボなのかも知れません。猪苗代湖周辺には広く本種が分布していて、その生息環境は農業用水を通じて広がったという考えを強く持たせます。基本的には以前のブログにおいて、南会津・只見一帯の生息状況で述べたものと同じだと言えます。戦後、食料増産のために入植と開田事業が盛んに行われ、猪苗代湖周辺でも湿地帯に新しい水田が作られました。多分、この時は本種にとっても生存が最も危ぶまれた時期だったのではないかと思います。その後、高度成長期を経て、離農が進み、当時造成された多くの田んぼは荒廃して、また湿地にもどりました。網の目のように作られた用水路は役目を終え、あらたに生き物をはぐくむ水辺となりつつあります。アマゴイルリトンボはこうした環境にむしろ適応して分布を広げつつあるのだと考えられます。


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