今期最後の観察
白い縁紋に、ン?結構成熟しているのに。ここはほとんど透明型
郡山市熱海町の生息地はいわき市三和町のそれに比べ、成虫の出現が年によっても異なりますが、7~10日ほど遅れます。これまでに示した通り、三和町の成虫の活動期は時期的な低温の影響が行動を抑制していて、おおむね14℃あたりが飛翔可能な最低温度になると思われました。一方、熱海町ではさすがに日の出と共に気温の上昇が著しく、すでに7時には14℃を上回って、成虫の活動帯の気温は三和町を大きく上回っているのです。つまり熱海町では成虫の活動を抑制する14℃の温度は存在しないのです。
これまで三和町で林道を飛ぶ個体数を羽化直後、未熟期そして成熟期に分けて丸1日、一定時間ごとに調べてきました。今回は熱海町で同様に成熟期の飛翔状況を調べてみました。
このように同じ福島県内でも生息地の環境によって成虫の飛び方が変わってくることがわかりました。九州から北海道まで、さらに標高数十mから2000mまでと極めて広範囲に生息するムカシトンボは、それぞれの地域で飛び方が異なっているものと想像します。高山や海岸に近い生息地ではどのような飛び方をするのか、一度見てみたいものです。
6月13日、熱海町で最後の観察を行いました。ムカシトンボはほとんど飛びません。昼前に数頭が飛翔しましたが、内1頭はこれまでムカシトンボでは見たことのない、エゾトンボのような摂食飛翔をおこないました。こんなこともあるもんだと見ていますと、なんだサラサヤンマじゃねーの、と。しばらくするとムカシトンボがスーっと飛んできたかと思うと上空を旋回していたサラサが猛烈な勢いでアタック、ムカシトンボは追尾されながら林の中に逃げていきました。いよいよこの地でも新旧交代となったようです。
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