季節はあっという間に初夏に
今年のムカシトンボは何かいまいちパッとしないまま終わろうとしています。代わってサラサヤンマのシーズンとなってきました。郡山市ですと、例年連休明けの10日ごろから羽化が始まります。大体月末になると成熟虫が湿地に飛来してきます。
昨年観察していて、このヤンマは基本的に縄張り内に静止してメスを待つトンボでは?という考えを持ちました。多くの文献では縄張り内をホバリングしながらメスの飛来を待ち、一部では静止して縄張りを張ると記述されています。要は縄張りは飛翔が主で、一部静止型が見られるということです。
5月25日に郡山市郊外のハンノキ林にある生息地に行ってみました。すでに多くの個体が見られ、交尾・産卵も観察できました。早朝から縄張りを張る場所で待っていると、最初のオスが飛んで来ました。それは縄張りとなる空間を高さ1mぐらいを上下動しながら数秒から10数秒飛び回った後、今度は地面から50cmぐらいの高さをホバリングを交えてせわしく飛翔します。数十秒から1分ぐらいでしょうか。その後さらに低く、ブッシュや低灌木の方を向いて30m2ぐらいの狭い場所を飛んで、おもむろに枯れ枝や植物の葉などに止まります。
静止したオスはその後、自発的に(他の小昆虫の刺激や風にあおわれたりしてなど)、あるいは侵入してくるオスの迎撃、そしてメスの飛来によって飛び立ちます。自発的な場合はわりに短時間でまた同じ場所に戻って静止します。迎撃の場合は追い払った後に、再び縄張りに戻りますが、ホバリングを交えながらまるで自身を誇示するがごとく数十秒から数分縄張り内を飛翔してから静止します。メスが縄張り内外に飛来するとオスは瞬時に飛び立ち、メスをあっという間に捕捉して草むらに落下します。そしてメスを把握すると飛び立って、タンデム状態から移精そして交尾態となって樹上に上がって枝に止まります。この間、縄張りはがら空きで、多くの場合、新しいオスが飛来して縄張り主となります。
さて、今回は飛翔型と静止型の縄張を比較してみました。まずそれぞれの継続時間です。上述したとおり、静止型の継続時間がとぎれるのは3つの原因からでしたが、考えてみれば、それらの刺激原因がなければ逆に延々と静止状態が継続されるのでしょうか?さらにサラサヤンマの場合、縄張りの目的はメスを捕えることです。静止型と飛翔型ではメスの捕捉数に差があるのでしょうか?それらを念頭に観察した結果が下の表です。調査個体数は示してありません。
注目すべき交尾率ですが、明らかに静止型が2倍高くなっていることが分かりました。これは継続時間が静止型が4倍以上も長いことが主な要因と考えられます。飛んでエネルギーを消耗するよりも、止まって楽して交尾したほうが絶対に良いと思います。飛翔型が静止型より長時間継続するなら結果は逆になったと思います。
しかし、観察していてサラサヤンマが飛翔型と静止型の両方の縄張行動を使い分けるとはどうしても思えないのです。つまりサラサヤンマには積極的に縄張り内をホバリングしながら飛翔警戒する気がさらさらないというか、もしそうなら、もっと静止状態から自発的な縄張り飛翔が頻繁に起きて、飛翔時間も逆に長くならなければなりません。それが全く観察できなかったことは、本種の縄張は飛翔型でなく静止型である可能性が高いんと違うんかい?
つづく
つづく
0 件のコメント:
コメントを投稿